芭蕉林通信(ブログ)

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2024年11月21日 寿退社

 現代社会で時代遅れになっている言葉を集めているという話が雑誌に載っていた。「寿退社」がその一例としてあげられていたが、なるほど私が1970年代社会人になった頃は、女性は結婚すれば退社するのが当たり前という考えかたが残っていた。

 「浪漫」という言葉もあまり使われていないらしい。米米CLUBのヒット曲「浪漫飛行」に使用されたぐらいと言うからなにやら寂しい。私などは「麗しい」、「しとやか」なども使いたい言葉だ。元気な女性が活躍する時代、使われる頻度が落ちる言葉が出てくるのは自然なことだろう。

 ということを考えながらインフルエンザの予防接種に行った病院で、いつも声かけしていたフロントの女性スタッフがいないことに気づいた。理由を聞けば結婚して旦那さんのいる大分に行ったとのこと。「寿退社」は今の時代にもあるんだと嬉しくなった。職場を離れてまで県外に行った彼女には幸せになって欲しいと心底思った。(写真は熊手。浅草の酉の市が有名で今月の句会の兼題でした。)

2024年11月13日 トップの判断

 トップに立った人は3年先に評価される判断をしなければならない。なぜかならば、目の前にある課題や問題はトップでなくても一般社員でも分かることだからだ。そうした案件は優秀な部下ならば日常業務の中で処理してくれるだろう。

 しかし、3年先になって初めて評価される判断となれば、時代を読み、自社の経営資源を考慮し、先見性を駆使することになる。その時点ではその判断は部下には理解できないかも知れない。宅急便を創始したヤマト運輸の小倉社長の逸話が残っている。役員会で宅配業務を始めようと諮ったら、役員全員が反対したというのである。もちろん、小倉さんは「密度理論」という独自の理論を作りだし、実証実験を繰り返し、最終的には宅急便を成功させたのである。

 私にとっても難しい判断が過去にあったことは確かだ。失敗も多かったが、失敗から学び再挑戦を繰り返した。3年経って初めて良い結果が出た時にはやってて良かった、判断は正しかったと胸をなでおろしたことも多い。そしてそれは孤独を伴うことを覚悟しなければならない。中国の古典「孟子」に出てくる言葉、「自ら省みて縮(なお)くんば、一千万人といえども我いかん」の心境に近いと言えよう。

2024年11月11日 家訓

 古く続く商家には独特の家訓が大事に伝え守られていることが多い。江戸時代の商家の家訓を集めた本がある。あるコンサルタント会社から贈呈された家訓集は全20巻ぐらいの大部だったので、ぱらぱら捲っただけですぐにギブアップした。やはり実体験したことこそ記憶に残るものである。その点、イオングループの前身ジャスコ創業者の岡田さんが熊本で講演した時に聞いた岡田家の家訓は忘れがたい。

 岡田家には、「大黒柱に車をつけろ」という家訓があるそうだ。小売り店を営んでいた時に近くにバイパスができ、人と車の流れが旧道からバイパスに劇的に変化した。その時に先祖伝来の店を閉めたり売ったりすることはできないと考えがちであるが、時代の変化に合わせるためには、古い店を閉めバイパス沿いに移転オープンすべきだと言った趣旨の話だった。大黒柱だとしても、時代が変わればその役割を終えるのであり、素早く転換しなければならないと教えられた。

 一方、商売を続けて長い拙宅にも家訓に似たものが伝わっている。祖父が言っていたのが、「山より大きなイノシシは出ない」。怯えたり不安にかられると、庭の木が揺れただけでも幽霊に見えるものである。不安にかられて過剰反応はすべきでないと解釈している。また父には、「のれんは築くもので守るものではない」という言葉が残されている。私が好きな「一代一業」、つまり歴史や伝統を守るだけではなく、常に創業すべくチャレンジすべきだと解釈している。

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