芭蕉林通信(ブログ)

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2025年08月06日 本を買う訳・捨てない訳

 最近は趣味をこれだと特定することがますます難しくなった。したい事、してる事がけっこう多いからである。そうした時に、他人から私には趣味がありませんと言われると驚いたり困惑したりする。趣味がないということがにわかに信じられないからである。もっとも言葉とは難しいもので、その意味するものはそれぞれに違うのだから、趣味がないと言ってもその人が楽しい日々を送っていることは大いに想像できる。

 私の場合、幼少のころからの一貫とした趣味と言えばやはり読書だろう。テニスやゴルフ、旅行、絵画鑑賞などは大人になってから始めたことだ。その読書にしても世の中にはツワモノがいる訳で、私などよりはるかに本を読み、集めている人が多いことには感動する。祖父も父も作家である女性はみずからも作家であるが、本とは自分にとって「外部脳」だとしゃべっていた。その通りと思う。

 私も読む気まんまんで買う本は多いが、必ずしも読むとは限らない。今買っておかないと二度と出会わないかも知れないという不安から買ったりする。したがって、本は読了しようと未読であろうと手放したくない。私にとっての蔵書は外部脳でもあるので、調べる時や原典に触れる時には必要不可欠だ。そして、読書の時間ができた時に蔵書の中からこの本を再度読もうか、あるいは読み残している本をいよいよ読もうかと迷うことが至福の時なのである。

2025年07月30日 黒柿のテーブル

 お取り先は共存共栄を目指す大切なパートナーと思ってきた。従って、ビジネスライクな判断とは別に情愛や信頼があればさらに深い関係性ができると信じている。所詮はお互い人間なのである。 ある地元スーパーの社長は「右手に寅さん、左手にビル・ゲイツ」と表現していた。義理と人情、そして冷静な頭脳が不可欠という訳である。

 とはいえ、実社会は生き馬の目を抜くのような残酷さと想定外のことが起こる意外性に満ちている。思い描いた通りに行くことの方が珍しい。だからこそ、流通業界は「変化対応業」と称せられてきたのだろう。

 この黒柿のテーブルはあるお取引先から依頼されて購入したものである。柿の木を割るとまれに黒い文様が出ることがあるが、それを黒柿と呼び家具などの材料として珍重されてきた。これは同じ黒柿でも黒い帯状の文様ではなく、バブル(泡)状の文様があたかも炎のように浮き出ている貴重なテーブルだ。もっとも「なんでも鑑定団」に応募する勇気はないが。

2025年07月24日 徳富蘇峰の色紙

 戦前の大ジャーナリストである熊本出身の徳富蘇峰は、戦時中に愛国的な行動を取ったことから戦後非常に批判された。フランスに出国した画家の藤田嗣治もしかり、日本応援団に所属しただけで戦後に避難された人達を気の毒に思う。父は海軍兵学校を繰り上げ卒業した後に即従軍。戦時中はあこがれの的だったらしいが、戦後はてのひらを返すように近所の人にまで戦争責任を問われて情けなかったとつぶやいていた。

 その徳富蘇峰の写真と直筆原稿が一体となった色紙を贈ってくださる人がいた。歴史好きの私ならば喜ぶと思ったらしい。かつて東京で蘇峰愛用の大きな硯に感心したことがあり、しかもその高価な硯がすでに買主が決まっていたのに二度驚いた。また地元で雄渾な書の掛け軸を見たこともあるが、蘇峰の人気のなさを知っているだけに欲しいとはまったく思わなかった。

 だが今回はただでくれるというのではもらわない訳にはいかない。本名の徳富猪一郎の署名と立派な面構えの写真、御璽(ぎょくじ)と見間違うような大きな押印と8行の直筆原稿はすぐさま好奇心を呼び起こした。しかし残念ながら、旧仮名遣いの原稿はチャットGPTに読ませてもちんぷんかんぷん。なにやら女性のことを書いている風なので、いま必死に読解に挑戦している。

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