芭蕉林通信(ブログ)

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2024年11月25日 追悼 谷川俊太郎さん

 詩人の谷川俊太郎さんが92歳で亡くなった。残念ながら講演会などで直接お話を聞く機会はなかったが、一ファンとしては少なからず縁があったと感じている。まずは谷川さんのお父さんが谷川徹三という哲学者で古美術品の蒐集家でもあり、そのコレクションの本が私の本棚に飾ってある。恥ずかしながら哲学の本はない。

 訃報を聞いて改めて周囲を眺めると、谷川俊太郎さんにどっぷり浸かっていることがわかった。「好きノート」は自分自身で書き込むという面白いタイプの本で、谷川さんの言葉に誘導されるまま一番好きな俳優は誰だ、映画は何だなどと書き込んでいる。また、谷川さんが翻訳した漫画「ピーナッツ」は全巻10巻中、今日現在6巻目を読書中というわけである。(ひそかにこれは名訳と思っている)

 先週の日経新聞には詩人の高橋睦夫さんが追悼文を寄せていた。「鳥羽」という詩に「本当のことを言おうか 詩人のふりをしてるが 私は詩人ではない」という一節を紹介して、その人となりを解説していた。さっそく本棚から「旅」という詩集を見つけ「鳥羽」の全文を鑑賞した。俗っぽい私はこの詩集を持っていたと自己満足に浸ったのである。すみません、これでは追悼文になりませんね。(写真は2年前、熊本市現代美術館で開催された谷川俊太郎展の一コマ)

2024年11月21日 寿退社

 現代社会で時代遅れになっている言葉を集めているという話が雑誌に載っていた。「寿退社」がその一例としてあげられていたが、なるほど私が1970年代社会人になった頃は、女性は結婚すれば退社するのが当たり前という考えかたが残っていた。

 「浪漫」という言葉もあまり使われていないらしい。米米CLUBのヒット曲「浪漫飛行」に使用されたぐらいと言うからなにやら寂しい。私などは「麗しい」、「しとやか」なども使いたい言葉だ。元気な女性が活躍する時代、使われる頻度が落ちる言葉が出てくるのは自然なことだろう。

 ということを考えながらインフルエンザの予防接種に行った病院で、いつも声かけしていたフロントの女性スタッフがいないことに気づいた。理由を聞けば結婚して旦那さんのいる大分に行ったとのこと。「寿退社」は今の時代にもあるんだと嬉しくなった。職場を離れてまで県外に行った彼女には幸せになって欲しいと心底思った。(写真は熊手。浅草の酉の市が有名で今月の句会の兼題でした。)

2024年11月13日 トップの判断

 トップに立った人は3年先に評価される判断をしなければならない。なぜかならば、目の前にある課題や問題はトップでなくても一般社員でも分かることだからだ。そうした案件は優秀な部下ならば日常業務の中で処理してくれるだろう。

 しかし、3年先になって初めて評価される判断となれば、時代を読み、自社の経営資源を考慮し、先見性を駆使することになる。その時点ではその判断は部下には理解できないかも知れない。宅急便を創始したヤマト運輸の小倉社長の逸話が残っている。役員会で宅配業務を始めようと諮ったら、役員全員が反対したというのである。もちろん、小倉さんは「密度理論」という独自の理論を作りだし、実証実験を繰り返し、最終的には宅急便を成功させたのである。

 私にとっても難しい判断が過去にあったことは確かだ。失敗も多かったが、失敗から学び再挑戦を繰り返した。3年経って初めて良い結果が出た時にはやってて良かった、判断は正しかったと胸をなでおろしたことも多い。そしてそれは孤独を伴うことを覚悟しなければならない。中国の古典「孟子」に出てくる言葉、「自ら省みて縮(なお)くんば、一千万人といえども我いかん」の心境に近いと言えよう。

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