2023年10月02日 庭で見つけた小さい秋
我が家の小さな庭にも目を凝らせば意外な発見がある。残暑の厳しい9月は西日もまた肌を焼くような強さだった。そうした中でも季節は少しづつ巡っているらしい。小さな生き物を見つけた。 一つはアゲハ蝶の幼虫である。庭の隅にある一本の木の葉をムシャムシャ食べていた。観察しようとそのまま放置していると、いつしかサナギになった。サナギを家の中に入れて孵化の様子を見ようと思ったが、かわいそうなのでこれまた放置した。ある日アゲハ蝶は飛び立っていた。庭を飛び回るアゲハ蝶の一羽が我が家生まれかと思うと実に愛おしい。もう一つはミノムシ。庭師がおしゃれな装いのミノムシを見つけた。確かに身につけている落ち葉の色や形が複雑で、しかもその重ね着の様子が美しい。そこでサナギの抜け殻とミノムシを共演させることにした。かくして部屋の片隅に小さな秋が出現した。 |
2023年09月26日 通潤橋の思い出
本日、山都町にある通潤橋が熊本県内2番目の国宝に指定され嬉しい限りだ。私の会社が創業140年を迎えた時に記念して作った写真集が「Ishibashi」。熊本県内には、幕末から明治にかけて作られた数多くの石橋が残されている。 子供が小学生低学年の頃、当時の矢部町に通潤橋を見に連れて行ったことがある。ちょうど八朔祭りの頃で、大きな作り物が数体展示されていた。息子にせがまれて屋台でイカ焼を買ってあげた。すると息子は喜びはしゃいだ挙句に、イカ一匹をすぐに地面に落とした。怒り心頭に達した私は、逆に家人から大人気ないと当然の指導を受けた。私もまだその頃若かった。 それから十数年後のこと、野菜工場の立地を求めて矢部町長と面会した。結果は地元の拒絶反応だった。農村社会の持つよそ者や企業への警戒心の強さは想定以上だった。そうした町も周辺地域と合併して山都町に変わった。国宝通潤橋を抱えて観光振興に期待する山都町は、開かれた町に変わって行けるだろうか。今はこの町を祝福しつつ暖かく見守りたい気分である。 |
2023年09月19日 庭いじり
現在の家に住み始めて23年になる。設計家は実家が木材を扱っていたらしくやたら樹木に詳しかった。庭の植栽計画も彼が作ってくれた。しかし23年が経つと、枯れたり大きくなったりした草木が混在し雑然な庭になってしまった。 そうした中、一人の庭師にひょんなと所で出会った。こうして書いていると能面士A先生ともひょんな所で出会ったことを思い出した。気心の知れる人との出会いは大概は偶然によるものらしい。さて話を戻すと、その庭師は春の植木市に苔庭を作庭して出展していたのである。わびさびを感じさせる庭に心惹かれて声をかけると、真っ黒に日焼けした男は意外と若い青年だった。そしてその青年に庭の改造を依頼したのである。 依頼してみて、庭師が興味深い提案と完成度の高い庭を造ることに驚いた。かくして狭い庭にはこけら葺きの待合ができ、水盤や灯篭が出現し面目を一新した。主庭の改造が控えているので、しばらくは彼の作庭が見られることがうれしい。 |