2020年10月16日 私と民芸
|
目白に「古道具 坂田」がある。知る人ぞ知る名店であるが、当主坂田さんの審美眼で選ばれた品物の数々は一見すると廃品になる一歩手前の物にも見え、その美しさを理解するのは一般的には難しい。しかし、あの白洲正子も坂田さんには一目置いていたのである。そして、やっとの思いで坂田さんから譲っていただいたスリップウェアは、柳宗悦とその民芸の仲間たちが用の美として早い時期に見い出した物であった。その一枚を見る度に、これまでの自分の民芸の長い道のりを思い返している。 |
2020年10月13日 ドレの版画とスティーブ・ジョブス
|
そうした作品の一つが最近手に入れた「ドレのロンドン巡礼」である。「天才画家が描いた世紀末」という副題にあるように、他の本とは違い、近世のロンドンに題材をとった銅版画集である。それに日本人著者が解説をつけている一冊であるが、さっそく面白いエピソードに行き当たった。ドレとアップル創業者スティーブ・ジョブズの接点である。その一節は次の通り。 「スティーブ・ジョブズは、ipadの発表会で、旧約聖書のモーゼが、文字を記した石板を掲げ持つ場面を描いたドレの画を載せたipadを持って登場したが、それは近代が生んだ最後のモンスターでありながら、すでに日常的な道具となったコンピューターにとって、画像と言葉と身体との再融合こそが、新たなテーマであるという宣言でもあった。」といささか難しい文章だが、ドレの絵を見るにつけ、ジョブズのユーモアのセンスとプレゼンテーション力に脱帽するのである。 |
2020年10月06日 ハサミを持つ女
|
これがどういう結果をもたらすかと言うと、いちじるしく年寄りくさくなるのである。例えに引くと申し訳ないが、大分県出身の村山元首相の眉毛は格別に長く、両目を塞ぐほどに伸びて垂れ下がっている。老人というより仙人という感があり、それはそれで村山元首相の飾らない素朴な雰囲気と合致している。 しかしある時のこと、博多の女性がハサミを持ち男性を追いかけている場面に出くわした。「あんたの眉毛は伸びすぎて見苦しか。私に切らせんしゃい!」という訳で多くの男性が若さを取り返していた。その体験があまりにも強烈だったのか、それ以来私はハサミを持った女性に迫られないように、早め早めに自ら眉毛を手入れすることにしている。 |