芭蕉林通信(ブログ)

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2017年05月22日 ゆっくりした生活

 かつてインドネシアのバリ島に行った時のことである。限られた旅行日程に追われるあまり、現地ガイドさんの説明を遮ぎるように、次の観光地に行こうとつい言ってしまった。その時ガイドさんが言ったのが「プランプラン」、つまり現地語で「ゆっくりゆっくり」であった。あるいは、スペインのバルセロナにあるサクラダファミリア教会に行った時に仕入れた逸話である。建築家ガウディの遺志を継ぎ信者の寄付に頼って工事をしているので、教会の完成までには百年以上かかると言われていた頃のことである。日本人のゼネコン関係者が現地に来て、建築期間の長きに呆れ、我々に任せるならば数年で作り上げると言ったとか。

 現代社会は競争を意識するばかりに、効率を重視し何事にもスピードが要求されるようになった。その結果、我々は四六時中時間に追われている。有名な小説「モモ」の言葉を借りれば、時間泥棒に時間を盗まれていつも忙しいのが現代人なのである。心とか愛着とか祈りといったものがどこかに忘れ去られている。

 現在私は足を怪我したために松葉杖の生活を強いられ、否応なく毎日ゆっくりゆっくり歩いている。せわしかった生活からゆっくりした生活に移った時、何か新しい感覚や考えが生まれるのではないかと期待したが、今のところ何も生まれてこない。自らの意思で選んだものではなく、強制的に強いられたものであり、かつまた傷の痛みに心を奪われているからに違いない。それならばせめても、ゆっくり歩き、ゆっくり考え、ゆっくり本を読み、ゆっくり人と語ってみたいと思っている。

2017年05月18日 双龍硯(そうりゅうけん)の謎

「双竜硯(そうりゅうけん)」と名のついた硯がある。双龍とはもちろん二匹の龍の意である。ある時気に入って求めたが、裏側に眼柱(眼という模様を残した細い柱)が十数本掘り出されていて美しい。硯そのものを軽くもしている。表側には、龍と雲、鯉と波が刻まれているが、龍は一匹のみなのに「双竜硯」と名前が付いているのを常々疑問に思っていた。

ところが、先日のNHKの日本の名字を辿る番組を見ていて疑問が一気に氷解した。「高橋」という姓は由緒ある姓で奈良に起源があること、古代では天皇の料理番、また全国各地の神社の神職に高橋姓の人が多いという内容であった。

 肝心なのは、天皇に料理を供する時に、最高の食材は鶴であり、鯉であったということ。鯉には龍同様にヒゲがあり、鯉は滝を登り龍になる高貴な魚とういうのだ。つまり、「双竜硯」に彫ってある鯉は、滝を登り龍になろうとしている場面だったのである。硯には確かに二匹の龍がいたのである。

2017年05月08日 素人発想

 フランス大統領選で39歳のマクロン候補が勝利した。EU崩壊の道を避けることができて朗報であった。 同氏とアメリカのトランプ大統領との共通点は、共に議員経験がないということである。これは政治経験がないか、あるいはないに等しいということであり、国民は言わば政治の素人を選んだことになる。

 国民が既存の価値観や諸制度によって立つ政治家に愛想を尽かした訳であろうが、これは企業経営においても当てはまると感じた。つまり企業においても、年功序列、濃密な人間関係、既得権、長老政治などが日常茶飯事化している。そうした状況に反旗が翻ったということであろう。

 改革を推進するのは、「よそ者、若者、馬鹿者」であると前に記述したことがある。アップルの創業者スティーブ・ジョブ氏も「Stay young , Stay foolish」と言った。世の中の企業経営を担う多くの若手社員には、この素人発想を忘れずに改革・改善のアイデアを発見し続けてもらいたい。改革者を演じてもらいたいとつくづくく思う。

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