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中学生時代に一緒に英語を勉強していた後輩のN君が突然死亡した。まだ64歳という働き盛りの企業トップの死を聞いた時には心底驚いた。そして生前のN君の仕事ぶりを思い出している内に、やはり無理をしていたんだなと思い当たる節があるのだった。
私は還暦を過ぎた時に内心思う所が会って、社外の仕事のほとんどと辞めさせてもらった。例外はないということにして、無理やり辞めさせてもらった役職もいくつかあった。それに比べてN君は還暦を迎えた頃になり俄然社外活動に目覚めたかのように、多くの要職を受けたのである。他人が敬遠するような多忙かつ責任重大な役割を同時に複数掛け持ちするN君には目を見張る思いがしていたし、同時に心配もしていた。と言うのはN君が自ら私的な勉強会で明かしたことだが、5年前に根を詰めて散歩とか運動とかをしている時に突然心筋梗塞(あるいは脳梗塞だったか)を起こし、危うく一命を取り留めるという事実があったからである。そしてN君はその無謀な運動をひどく反省していたのだった。 ちょうど3ヶ月前、市内の本屋でN君に偶然に出会った時には「社外の仕事を多く引き受けて大丈夫か?」と声を掛けた。その時は、いつもの爽やかな笑みを浮かべ「大丈夫ですよ。」とN君は短く答えたのである。しかしもし、あの時に少しでも長く話しをすることができたならば、N君には5年前の病気を思い出させ、「好漢自重せよ」という言葉を投げかけることができたのにと今は残念な気がしてならない。
好漢とは爽やかな好ましい男を指すが、自重とはつい調子に乗るとやり過ぎたり、話し過ぎたりすることを戒めた言葉である。亡父が生前に私に投げかけた言葉でもあった。その亡父も63歳で死んだことを思うと、経営者が自らの健康を維持することの難しさを感じる。「好漢自重せよ」というのは、今の自分にも十分に当てはまる真実であると思う。ただ実行はすこぶる難しい。
今はただ、地域のために命を削ってまで頑張ってくれたN君の冥福を祈るだけである。
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三島由紀夫賞を受賞した「伯爵婦人」の著者蓮實重彦さんの記者会見は前代未聞のやりとりとなり相当に面白かった。80歳の蓮實さんは、記者会見で三島由紀夫賞を受賞したことについて「まったく喜んでいません。はた迷惑なことだと思っています。」と語った。けんもほろろの蓮實さんに記者達が終始たじろぎ、本人に「他に質問がないことを望みます。」とまで言われて顔色を失っていた。
そこまでの本ならばと俄然興味を覚え、さっそく本を購入し読んでみた。これまた驚天動地のストーリーで口をあんぐり開けたまま読了したのである。この本については市内の本屋で次のような目撃談がある。(これは本当にあった話) 70歳を越えていると思われる老婦人が本屋の店員に話していた。
「こないだの本は本当に面白かったわ。」
「もう、エロエロばっかし。」
「次の本はないの?」 確かに屁理屈を捏ねたごとき小説ではなく、登場人物に自由奔放に語らせ行動させているその破天荒さ。伯爵夫人の謎めいたキャラクター。
昔のエロ・グロ・ナンセンス路線とは言えないまでもかなり危ない、だからこそまた次も読みたいという癖になるような魅力を感じた。そして性に対するあっけらかんとした奇想天外な物語展開に最後まで読み止めることができなかったのである。
そして目下の悩みは、私がこの本はハチャメチャだけど面白いと言ったばかりに、娘(ちゃんと成人し子供もいる)が本を貸してくれと言っているのに対して、どう対応するかということである。少し刺激が強すぎないかなあ。
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EU離脱を国民投票で決めたイギリスが揺れている。古代ギリシャで民主主義が生まれ、その時代は選挙権は限られた少数の都市住民だけの特権だったから、皆が集まり投票する直接民主制だったと学校で習った。それなのに、今なぜイギリスは人口の多い近代国家でありながら、直接民主制に近い国民投票を選んだのかよく分からない。少し前のスコットランド独立の国民投票でハラハラドキドキしたばかりではなかったか。
イギリスが無性に気になるのは6年前にイギリスをバスで巡る旅を企画したからである。 私はある経済団体の観光振興部会長をしていたので、約一週間の手作りのバス旅行を企画したら、7組の夫婦が参加してくれたのである。あまり知られていないことだが、実は夫婦参加の旅行は大変楽だ。大体において、夫は妻の前では大人しい。社会的に高い地位にある人でも、旅行中は借りてきた猫のように静かにして我が儘を言わないのは妻に怒られないように言動に注意するからである。 本題からそれたが、バス旅行の良さは観光地を点として観るのではなく、線として観ることができることだ考えている。イギリスの直後に、フランス横断のバス旅行を企画したのも同じ趣旨からであった。 イギリスではスコットランドの中心都市エジンバラからスタートして、ひたすら南下しロンドンに至るルートを取った。もちろん途中では、ワーズワースが有名な水仙の詩を作った湖水地帯やシェークスピアの生家があるストラトフォード・アポン・エイボンなどに寄ったのである。バスの車窓から観るイギリスの国土は美しいの一言であった。日本に例えれば、北海道の雄大な景色が行けども行けども続くといった具合である。しかも酪農が盛んであり、大規模農業に転換しているので手入れの行き届いた牧草地が延々と続くのである。 そうした時、バスの車窓から一瞬観た情景が忘れられない。カメラで写真を撮ることができないぐらい、ほんの一瞬、時間で言えば0.3秒ぐらいで観た映像が強い記憶として残っているのである。それは、乗馬クラブがある緑なす平原を通過している時、平原が尽き森が始まった場所に木漏れ日が見えて、小川に三匹の馬を引き入れている男がいたのである。その日の遠乗りで疲れた馬から鞍を下ろし、せせらぎの中で馬を憩わせている男の姿が0.3秒の間に目に焼きついたのであった。そこには、確かな平和、信頼、慰めがあったよう思う。
これからのイギリスにも平和や安らぎが続くように願っている。
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