2017年01月04日 足元を整える
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	 その花野小学校に赴いたNHKのアナウンサーがチームメンバーの一人の少女に、「どんなことに気をつけているのか?」と尋ねた。少女は「足元を整えています。」と答えたのである。私は一瞬、縄跳びをするのだから足腰を鍛えるという意味かと捉えた。ところが、少女は「宿題をする、忘れものをしない、時間を守る、思いやりの気持ちを持つことです。」と説明してくれたのである。リーダーの先生の教えがあるのだろうが、それにしても平然と自分の口で言う少女に感心した。 さらに付け加えれば、優勝が決まった後に花野小学校の生徒達は、本気、一人一人の限界を超える、仲間を信頼することが大事と言ったのである。私たち大人は、長い社会人生活の中で身につけた知恵がある代わりに失ったものも多いと思い知らされた。いつの間にか、生活習慣病に陥り、適当に仕事をし、無理をせずに、自己中心的に日々を送っているのである。少年よ少女たちよ、ありがとう。十分に反省して、この一年を過ごします。 | 
2016年12月27日 今年の漢字
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	 ところで先日日本漢字能力検定協会が発表した今年の漢字は「金」だったのはご承知の通りである。いつものように、清水寺の森貫主が金の一字を揮毫された。その鮮やかな筆さばきから現れた金の字が私にはどうしても金とは読めなかったのである。 そこで取り出したのが歴史上活躍した書家の字を集めた「書源」。さっそく金の字を調べると確かに森貫主の書いた字があった。それは中国の元の時代の鮮于枢の字そっくりなのである。宋の時代の字にも似ていることから、揮毫された字は宗・元の時代に使われていた行書か草書の「金」だと判明した。いずれの日にか書道を始めたいとは思っているものの、この一字をもってしても、先に広がる道の遠さに圧倒されている。 | 
2016年12月13日 備えよ、常に
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	 快調にバイクを飛ばし、予定通りに熊本新港に到着。いつもはフェリーで島原に渡る時に来る港である。物珍しさも手伝って、バイクを漕いで新港一周を試みる。遠くにはうっすらと月がかかり、その下には阿蘇が遠望できる。阿蘇の中岳からは白い噴煙が上がっている。見晴らし抜群である。港を一周してみると、野鳥観察の施設、複数のリサイクルセンター、海苔を収穫する大型漁船が停泊する漁港など多種多様なものが港を形成しているのに初めて気が付いた。やはりバイクというスローな乗り物で来たおかげである。 そうこうする内に太陽は傾き、時刻は4時、そろそろ帰宅する時間である。新港と陸地を繋ぐ長い橋を快調に飛ばしていると急にバイクの変調に気がついた。まさかの後輪パンクである。タイヤのパンク修理の道具もなければ空気ポンプもない。一気にパニックに陥った。パンクしたバイクを押して自宅に帰ろうと決心したが、日没との競争である。しかし、道半ばにして太陽は沈み、闇が広がると同時に気温は一気に低下。かつて経験した低体温症の恐怖が襲ってくる。風が強まり体感温度は急速に低下する。何度も心が挫けそうになるが、こうなったのも自己責任である。まさかの事態を想定して準備を怠った罰である。それにしても寒さが厳しく、疲れた身体に鞭打ってがむしゃらに走ったり歩いたりを繰り返す。これはもう、酷寒の地で男が遭難する小説を書いたジャック・ロンドンの世界と酷似していると思った。 かくして挫けそうな心を励ましながら午後6時に帰宅できた時の安堵感は大きかった。何かしら、企業経営でも通用する教訓を得た気になった。私が小学生の時にはボーイスカウトだったが、その時の合言葉「そなえよ つねに」をすっかり忘れていたようだ。 |