芭蕉林通信(ブログ)

HOME > 芭蕉林通信(ブログ)

442件〜444件 (全 738件)   <前の3件     ・・・   144 | 145 | 146 | 147 | 148 | 149 | 150 | 151 | 152  ・・・   >次の3件

2015年11月04日 憧れの単身赴任

 これまでの私の人生で経験できなかったことが海外留学と単身赴任です。若い時には本気で海外留学を目指したことがありましたが、何となく挫折したのは、勉学に対する志が弱かったのだろうと今になってはよく分かります。しかし夢というのはなかなか覚めないもので、壮年になっても憧れの海外のビジネススクールに行きたいと思ったことが何度かありました。  
もう一つ実現できなかったのが、大手会社勤務では常態化しているように思える単身赴任です。これまた若かりし頃は、単身赴任は気楽で良かろうななどと妄想することが度々でした。引き蘢り症候が出始めた今では、体力・気力の衰え、一人生活の不便さばかりが想像され、憧れから恐怖に変わり始めています。

 海外留学となるとまず語学力が必要となります。英語の勉強をしている時に聞いた逸話ですが、ひたすらFMで英語番組を聞いていたら、ある朝突然に英語が理解できるようになったというのです。これを私流に解釈しますと、特異点というのがあり、英語の勉強がマグマのように蓄積され、特異点により突然に爆発した状態と思われます。水を温めて沸騰させる時にも沸騰直前にこの特異点が存在します。  
また、単身赴任のベテランに聞きますと、生活に工夫をしていることに感心させられます。朝食の取り方から休日の過ごし方までなるほどと思わせる知恵があるのは、会社の先輩から後輩へ引き継がれる知見があるからでしょう。

 かくして私はウルトラ・ドメスティックとして、ウルトラ・ローカルとして現状の生活を満喫しています。

2015年10月28日 幕末の家業

 O先生は陶芸家として一家を成しているだけでなく、元来の親しみ易さからファンの多い方です。大きな工芸展の審査員を長く勤めていることからも分かるように、今や斯界の重鎮と言っても過言ではないと思います。  そのO先生は今では、熊本を離れ佐賀県に移住され作陶されていますが、以前は熊本市内に窯を築き作品を焼いておられました。その時代の作品を整理販売したいとのご案内をいただき、旧宅を訪ねたのは秋晴れの続く10月の一日のことでした。O先生の家からは、西に金峰山山系、東に阿蘇山が眺められ、高台にある敷地には心地よい風が吹いていました。

 O先生と抹茶をいただきながらおしゃべりしている内に、O先生の先祖が幕末には天草の本渡で壷や瓶を焼いていたということを知りました。さらに、屋号は「かめや」で、壷や瓶を船に載せて熊本城下にまで運んでいたとのことです。  そこでハタッと気づいたのは、我が家の先祖とO先生のご先祖様とは縁があったのではないかということです。我が家が明治2年に乾物問屋「かめや」を創業するまでは、熊本城下の瓶屋町で壷や瓶を作り売っていたとばかり思っていたのですが、よく考えれば新三丁目門という重要かつ壮大な櫓の横で火など使える訳などあり得ません。

 きっと我が家は、O先生のご先祖様が天草で作った壷や瓶を仕入れて売っていた販売業者だったのです。さらに想像を膨らませば、同じ「かめや」の屋号ですから、製造・販売以上の深い関係があったかも知れないのです。ということで残念ながら、幕末の身分は士農工商で言えば上から三番目の「工」から一番下の「商」に一ランク下がったのでした。 (写真は、数年前に長崎で偶然に発見された新三丁目門です)

2015年10月20日 書斎の机

 随分昔の話になりますが、自宅を作る際の夢の一つが書斎を持つことでした。夢が実現したのはいいのですが、10年以上が経つと物が溢れるようになったのは如何ともし難い現実です。  机は今では様々な物で占拠されています。旅の思い出の品、ちょっと気になって買った物、各地で拾ってきた石、お祝いでもらった品などなど。それでも、机に座る度に一つ一つの品物を並べ替えては楽しんでいます。

 物に執するという言葉がありますが、一端物を集めだすと惰性が付くとでも言うのでしょうか、切りがなくなる印象があります。文芸評論家の小林秀雄は、生前書画骨董に感心を持った時に、狐が憑くと表現しました。そして、書画骨董の収集をばたりと辞めた時に、憑き物が落ちたと言っています。  私の場合もある時期、物集めに執念を燃やしたこともありますが、最近やっと憑き物が落ちたといった心境になっています。きっかけを何かと言えば、時間と資金を費やすことがばかばかしくなったこと、所有価値ではなく使用価値が大事と思うようになったからです。

 これからは、生活実感に沿った実用的な物に目を向けようと思っています。それにしても、今まで集めてきた物が私の宝物であることは間違いありません。

442件〜444件 (全 738件)   <前の3件     ・・・   144 | 145 | 146 | 147 | 148 | 149 | 150 | 151 | 152  ・・・   >次の3件