芭蕉林通信(ブログ)

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2024年03月12日 一冊の本

 今月、私の母校である大学に合格した学生の歓迎会が開催される。事前に幹事から要請があったのは、学生諸君に奨める一冊の本の選定である。昨年は何を推薦したか思い出せないのが悔しいが、急に頼まれてもなかなか思いつかない。家人に相談したら、セネカの「人生の短さについて」はどうかと言ってきた。なるほど良書だと思ったが、念のために会社にあるMY図書室に何かないかと探すことにした。

 あれこれ本に目移りしている内に、再読したい本が次々に見つかったりして肝心の一冊の本になかなかたどり着けない。悪戦苦闘した結果なんとか書棚から掘り出したのが、立花隆の「立花隆の書棚」である。私自身が再読したいと思うぐらいだから、学生諸君に推薦しても罰は当たらないだろうと思うがそう確信はない。

 この本を推薦するメリットがあるとすれば、この一冊で数千冊の本を読んだ気分になれることだろう。古今東西の書物を網羅している点、その迫力は半端ではない。立花さんは生前購入した本はほとんど処分していないと書いている。しかしながら、彼はこの世を去るにあたって、ただの一冊も残さずに処分するのよう命じたのはなぜか。私なりにその答えはあるが、知の巨人と言われた立花隆さんにしては少し寂しい決断だったという気がしている。

2024年03月04日 寄らば大樹の陰

 あらゆる組織で新入社員からベテランまで転職する人が増えている。昨年は弊社でも幹部の転職があった。その時思ったのは大樹が倒れたならば周囲の樹々に伸びるチャンスが回って来るということだ。

 「寄らば大樹の陰」と言うことわざがある。頼りになる人がいればありがたい。しかし森では太陽光を取らんと樹々が争っている。大樹が太陽光を独り占めすれば、周りの樹々の成長は難しい。そうした時に大樹が枯れたり雷で倒れるかすれば、一挙に周りの樹々が大樹になる可能性が強まる。

 幹部の退職もまたしかり、残された社員が覚醒し飛躍してくれるのが頼もしい。振り返ると、私の場合は39歳で父という大樹を亡くした結果とたんに風雨にさらされることになり、それを乗り切る過程で精神的に強くなった。やはり組織にあっては、スタッフに陽が当たるように配慮してあげることが大事なようだ。

2024年02月14日 風邪を引けば世界観が・・・

 「身体とこころは一体である」との健康学の本を読んでいたら、興味深い一文が紹介されていた。 それはロシアの文豪チェーホフの次のような言葉である。「風邪を引けば世界観が変わる。つまり世界観は風邪の症状である。」なんだか深い意味がありそうだが、今一つ分かりにくい言葉だと思った。

 ところが今日地元紙の朝刊に、ある女性が配偶者との馴れ初めを書いていた。それは大学生の頃、魅力的な九州男児が風邪を引いたので「釣り針」入りのおかゆを持って行ったら、見事釣り上げたとの話である。そして、今は息子ふたりに風邪を引いた時には気を付けるように言っているとの話に思わず笑ってしまった。

 つまり、風邪を引いた九州男児は恋愛観が変わり、おかゆを差し入れた女性に恋をしてしまったのである。この場合、恋愛観は風邪の一症状だったのだろう。わが身を振り返っても、風邪を引いた時には確かにやる気が失せることがある。人間の精神やこころは、かくも身体の具合に左右されると思うと恐ろしいような健気な気がしてくるのである。 (写真は春の空をバックにした台杉)

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